第3章 四人の護衛
誰もいなくなった部屋で一人、ベットに倒れ込む。今日は色々ありすぎて、分からなくなっている。坂田に対するあの気持ちは何だ?
いや⋯⋯
「様、どうなされたのです?」
声が聞こえ、頭をその方向に向ける。そこには、壁にある隠し扉から入ってくるクロがいた。
隠し扉は緊急用の脱出路だ。まあ、クロの近道になっているが。
『ちょっと疲れたの』
「紅茶はお飲みになりますか? それとも、夕食まで仮眠をお取りになりますか?」
『少し眠ろうかしら』
「かしこまりました。なら、きちんとベットにお入り下さいませ」
そう言って、クロは私をベットに押し込む。頭を撫でる手は暖かく、気持ちよかった。
「おやすみなさいませ、」
目が覚めると、窓から太陽の明かりは見えなかった。時計を見ると、かなり遅めの時間だ。夕食の時間はとうに過ぎていた。
「おはようございます。夕食はこちらにお持ちしました。準備致しますね」
『クロ、ありがとう』
「構いませんよ。明日はお出かけですし、しっかり休んで下さい」
私は頷き、夕食を口に入れる。
クロは、クローゼットルームで何かをしている。きっと、明日の服を選んでいるのだろう。
夕食を食べ終わると、クロがいくつかのワンピースを出してきた。それらをソファに掛け、食後の紅茶を出してくれた。
「明日の御洋服を選んでおきました。気になる物はございますか?」
『その水色のワンピースがいいわ』
「かしこまりました。ショッピングですので、ヒールは低めの物に致しますね」
『ええ、頼むわね』
「はい、かしこまりました」