第3章 四人の護衛
たわいもない話をしながら、部屋に戻る。その時間が終わるのが嫌だった。このまま話し続けて居たい。
そう、思ってしまう。
明日もまた会えるのにどうしてだろうか。いつもの私はどこに行ったんだろうか。そんな事を考えても、答えは出なかった。
部屋に入ろうとすると、話し声が聞こえる。それは私の部屋ではなく、護衛部屋から。
まあ、自分の部屋に戻ろう。ドアを開けると、クロはいなかった。別の所で仕事をしているのだろう。
『それじゃあ、散歩に付き合ってくれてありがと』
「僕も楽しかったからえーよ。また誘って」
『うん、分かったわ』
「じゃあ、失礼します」
そう言って、坂田は護衛部屋に戻ろうとする。しかし、ノックの音が鳴り響いた。
『どうぞ』
「失礼します。志麻です」
「センラです。明日の確認にきました」
坂田は二人を軽く見、今度こそ部屋に戻っていった。退出の許可を得てしまった限り、出るしかないからだろう。
『ん、明日の話ね。どこまで聞いてる?』
「髪留めを買いに行くという所まで。様はどこに行きたい?」
『んー、そうね』
志麻に問いかけられ、悩んでしまう。買い物なんて、ほとんど行ったことがないからだ。全て、贈物でどうにかなってしまうから。
私の顔が悩んでいるのではなく、困っているものだと気づいたのか、センラが助け舟を出してくれた。
「じゃあ、新しく出来たショッピングモールはどうやろ? あそこなら、様に似合うのも幾つかあるやろ」
『なら、そこでお願い』
「分かりました。外出記録見たら、長い間買い物してへんようやし、欲しいもの考えといて下さい」
『ありがとう』
「それじゃあ、俺達はこれで」