第2章 プロローグ 彼らの話
坂田side
部屋に入ると、二人はソファで寛いでいた。僕達を見て、手招きをする。今はオフモードやろか。
「よく来たねー、四人とも。とりあえず座ってー」
まふさんが言うので、俺達は反対側のソファに座った。その途端、先程のグータラしてた態度が消え、真面目に戻る。
「よし、それじゃあ本題ね。実は、さっきまで幹部と会議をしてたんだよ。内容は、“お嬢の婚約者について”」
「ボスの遺言通り、幹部と側近で婚約者を選出した。この事を言ってる時点で分かってると思うけど、USSSが婚約者だ」
『僕達が?』
「うん、そう。一番の理由は、ボスからお嬢の事を頼まれているから。それに、君たちはボスが選んだ四人組だから。それで押し通したんだ」
まあ、有り得ん事やないと思ってた。ファミリーの中で、お嬢と合う年齢なのはあんまり居らんかったし、そらるさんとまふさんを除けば、俺達が一番格上や。
せやけど、実際にオトしていいとなると⋯⋯
そんな事を考えていると、センラが二人に問いかけた。
「押し通したって事は、別の候補者も居てはったんですか?」
「まあいたけど、そいつらはファミリーを乗っ取りたい奴だけ。他の幹部からも賛同を得てなかったしな」
「まあ、そんな訳で、君たちはお嬢の婚約者です。だけど、いきなり公表はしない。お嬢にも内緒。初めは護衛としてついてもらうよ」
「護衛?」
「噂を広める為に。週末にお嬢はパーティに行く。その時に、距離感を近めにしておいて。それで、関係を匂わせる。それだけで噂は広がるから」
「なんで噂なんか広めるんですか?」
センラがそう聞くと、二人の顔が少し歪む。
聞いたらあかん事やったんやろか。でも、気になる。
二人は黙り込むかと思ったけど、少しの間を置いてそらるさんが口を開いた。
「気になる奴が居るんだ。そいつらが襲って来るかもしれないから」
「婚約者と護衛の件は了承しました。他には何かありますか?」
うらさんが雰囲気を変えるために口を開く。二人の表情も何とか元に戻った。
「今日の夜に顔合わせをやる。初対面だし。今日の晩飯の後に談話室に集合」
「「『「分かりました」」』」