第2章 プロローグ 彼らの話
志麻side
『なー、うらさん。最近、本邸にいる事多くない?』
「確かにそうだけど、いきなりなんで?」
『いや、今思っただけ』
「何かあるんじゃないか? そらるさんとまふさん忙しそうだし」
ここは本邸にある俺の部屋。今日の午後は仕事もなく、暇なうらさんを巻き込んで、お喋り中。坂田とセンラも誘ったし、もうすぐ来るはずや。
『何かって何? 様の誕生日は半年後やし、先代のお二人の命日も先月あったとこやろ?』
「俺も知らねーよ。気になるんだったら、自分で聞いてこいよ」
こんな事を話していると、いきなり開くドア。坂田とセンラだ。
「何の話しとるん? あ、これ美味しいやつやん!」
「センラも混ぜてーな。あ、坂田、そっち頂戴」
「ほい」
「ん、ありがと」
机に寄ってくると、出してあるお茶菓子を食い始める。その光景を見て、うらさんが叱った。
「とりあえず、椅子に座れ。行儀悪い」
「いや、移動やで」
『移動? 坂田、なんで?』
「そらるさんとまふさんからの呼び出し」
「廊下歩いとったらお二人に会ったんです。その時に招集かけられたん」
「それを早く言え。二人共、菓子食うの終わり。志麻も行くぞ」
その事を聞いて、立つ俺達。二人からの呼び出しという事は、集まるのはいつもの場所。側近の仕事部屋だ。
軽く身嗜みを整え、部屋から出る。彼らの仕事部屋は一個上の階。さらにその上の階に居るのは、今は様だけだ。
この建物は階段を登るにも、それ相応の地位が必要になる。緊急時以外では、IDカードがなければ、階段への扉が開かない仕組みになっているのだ。