第2章 プロローグ 彼らの話
センラside
夕飯を食べ終わり、談話室に集まる。そらるさんとまふさんはまだ来てへんみたいやった。
様の様子を伺ってたら、二人が話をしてる様子があったし、伝えられてはいるのだろう。
それよりも、俺達が気になるのは⋯⋯
『様ってどんなお方なんやろな?』
「まあ、ほとんどのファミリーがまともに話した事ないしな。確かに俺も気になる」
「お淑やかって言われとるけど、実際はどうなんやろな?」
「でも、有り得るぞ。まともに仕事はしていないだろ。ほとんどはそらるさんとまふさんがやってるし。まあ、パーティに行くくらいだから、社交性ぐらいはあるだろ」
『うらたんの言う通りやね。仕掛ければ簡単にオチそうや』
そんな事を話していると、物音が聞こえ、慌てて会話をやめる。入ってきたのはそらるさんとまふさんやった。
「集まってますね。お嬢はもうすぐ来ます。座って待ってましょう」
まふさんに従い、ソファに座る。すると、ドアの音が聞こえ、様が入ってくる。彼女は俺達を見て少し固まった。
「私に会わせたいのはこの四人?」
「はい、そうですよ。どうぞこちらに」
様はまふさんにエスコートされ、そらるさんと挟まれて座る。
「此奴らは浦島坂田船。明日から、お嬢の護衛をしてもらう事になる」
「護衛? そらるとまふまふじゃなくなるの?」
「僕達の仕事が増えてきて、お嬢を守るのが難しくなってきたんです。それに、誰かがファミリーを狙っているようなので」
そらるさんが目線で合図をする。
それを受け、俺達は次々に自己紹介を始めた。
「うらたぬきと言います。よろしくお願いします、様」
「俺は志麻。これからよろしく」
「坂田。これからよろしくお願いします」
『センラ言います。これからよろしゅう』
「うらたぬきさん、志麻さん、坂田さん、センラさんですね。これからよろしくお願いしますね」
様は手を差し出し、一人ずつ握手を交わした。少し、彼女の目から何かが見えた気がした。