第10章 彼らの思い
何故かセンラが固まっている。
好きな理由が信頼が置けるのと仕事が出来るのは流石にまずいのだろうか。
luzの方を見ると、やっぱりといったような感じでため息を付かれている。
え? やっぱり私はおかしい?
でも、好きな所なんてこれしかないのだけれど⋯⋯。
好きな所ねぇ?
そんな事を考えていると、センラが私が寝ているスペースに入って来た。仕切りのカーテンも閉めている。
え、何をするつもり?
センラが横に来たため、そちらの方を向くと、顔を手で固定された。そのままセンラの顔が近づいてくる。
え、ちょっと、本当に何をするつもりなの?!
そう思っても、焦りのあまり言葉は出ない。どんどんセンラの顔は近づいてくる。
「顔真っ赤やね。意識はして貰えとるんですね」
『ち、近いわよ。あと、くすぐったいわ、やめて』
「ふふ、嫌です。このままで聞いとって下さいね」
目の前にあるのは私が贈ったラペルピン。そして、彼の首筋。彼の肌は白くてすべすべしてるように見えた。
そのまま目線を上に上げると、彼と視線が交わってしまう。彼の目はどことなく何かの欲にまみれているように見えた。
微かな、私にだけ聞こえる声で囁く。
センラの声が頭の中に染みてくる、そんな感じがした。
「初めは尊敬でした。ただ単に様の技術に心を奪われたんです。
でも、それは庇護欲に変わりました。護りたくなったんです。
確かに、俺は志麻くんや坂田と比べたら腕っぷしは弱いし、うらたん程綿密な計画が立てれるわけじゃないです。それに、一番得意な対人術も様に負けてるでしょう。
けど、あなたの傍にいて、護りたい。
こんな俺の気持ちを分かっといて下さい」
ゆっくりと、少しずつ、彼の言葉は紡がれていた。
私の頭はゆっくりとそれを処理するしか出来ない。こんな感情を直接向けられるのは初めてだ。
だから、尋ねるしかできない
『センラ、あなたのその気持ちは恋なの?』