第4章 すりー!
「お、ちゃんと来たか」
屋上に来れば、フェンスの前。
茅兄じゃないけど、赤髪をつんつんに尖らせた不良男子、美浜先輩が立っている。
私は押し潰されそうな心臓を気にするかのように右手に力が入る。
『あの、一体私に何の用ですか?』
恐る恐る開いた口に、美浜先輩は仁王立ちで私を見下ろした。
美浜「用って程の用もないが、ちょいと俺たちの相手をして欲しくてな」
俺たちの相手?
美浜先輩の言葉に出てきた違和感に、私の目はすっと彼に向く。
絡まる視線は互いに逸らさない。
美浜「高遠から聞いたんだよ。イイ声で鳴く女がいるってさ」
『え、それが私と何の関係に?』
美浜「それがお前だよ。立花 真白」
え?
じりじりと詰め寄ってくる美浜先輩が私に迫る。
イイ声でなく?
その言葉が何を意味しているかは分からないけど、脳内に警報が鳴る。
逃げなきゃーー
そう感じた私は踵を返す。
が