第3章 とぅー!
蒼生「ーー」
どうやら物音に気づき、ゆっくりこちらを見る蒼生兄。
無表情で感情が読み取れない。
けど、
蒼生「あれー、何で真白がここに?」
私と視線が重なった瞬間、まるでスイッチが入ったかのように笑顔に変わった。
『もうご飯だよーって、呼び、に』
蒼生「もうそんな時間か!わざわざ呼びに来てくれたんだね、ありがとう」
ねぇ、なんでそんなに笑顔なの?
先程見た蒼生兄の無表情な顔が頭をよぎり、私の脳内はテンパる。
蒼生「真白?」
いや、私の見間違い?
でも確かにはっきり見えた気がしたんだよね。
なんの感情も宿さない、人形みたいな……とてつもなく冷たくて、いつも明るく元気な蒼生兄とは大違いの表情を。
蒼生「もう、そんなに僕を見つめてー。襲っちゃうからねー」
『うん。』
蒼生「!?」
でも目の前にいる蒼生兄はいつもと変わらないみたいだし。
んー、やっぱり私の気のせいかなー。
そう思い直して意識をはっきりとさせれば、蒼生兄が私の目の前にいた。
『おわっ、蒼生兄?』
なんかち、近くない?
蒼生「今、はいって言ったよね?」
『え? 』
なんか言ってた?
まだ春と言っても外は冷たくて、少し冷んやりとした風が頬を掠める。
が、それはふと温かさに変わった。