第3章 とぅー!
『だから子供じゃないって』
蒼生「でも支えがあった方が楽だよー? ほら、真白」
『つー』
蒼生兄に促されるまま彼の手を握って立てば、痛みはあまり感じない。
あれ、本当だ!
蒼生「さ、戌里兄が待ってるし行こうか」
『うん』
その刹那、私の頭に手を置いては、蒼生兄は二階に上がっていく。
『え』
〈気をつけて帰れよ〉
はっ!
そう言えば瑞希も私の頭撫でてたな。
え、それってみんな私を子供だと思ってるの?
そんな複雑な気持ちを抱きながら、私も蒼生兄同様リビングに向かう為二階にあがった。
戌里「あ、お帰り」
蒼生「ただいまー」
『ただいまー』
二階にあがれば、コの字かけのソファーに腰下ろしては、テレビを見ながら紅茶を飲む戌里兄がいた。
『戌里兄、それ何飲んでるの?』
フローラルで蜜のような華やかな甘い香り。
落ち着くなー
戌里「ああ、ダージリンティーだよ。僕が作ったんだけど……真白も飲む?」
『え? あっ頂こうかな』
蒼生「え、僕も飲みたいなぁ」
そんな私たちに戌里兄はにこやかに微笑むとソファーから立ち上がりキッチンに向かう。
白のワイシャツに黒のズボン。
見た目でさえ貴族の私服みたいなのに、その動作さえ、優雅だ。
蒼生「真白?」
きっと高遠さんが見たら、また騒ぐんだろうなぁ。
戌里「あ、じゃあ二人とも着替えて来て」
「『はーい』」
リビングダイニングキッチンの為、戌里兄の声はリビングにいる私たちによく聞こえた。