第3章 とぅー!
夕陽が沈む住宅街の道、私と蒼生兄は隣通しになって歩く。そんな私は口の端を下げた。
ほんと、蒼生兄は優しい。
お腹の痛い私を気遣ってか、いつもより歩くスピードが遅いから。
だからかな、余計なことを考えてしまうのは。
ねぇお兄ちゃん。
何で私に高遠さんから告白されたって言ってくれなかったの?
蒼生「僕と真白以外は、皆部活だからなー」
『!?』
ふとタイミングよく蒼生兄が口を開いたからビックリした。
『そ、そうだね。蒼生兄は部活しなくていいの?』
蒼生「したくないかなー。僕が部活したらこんな可愛い真白を一人にさせるし、それにめんどいじゃん?」
私を可愛いって言うの親か、蒼生兄くらいなんだけどな。
『ま、面倒いのは私もだなー。 それに唯一二人でゆっくり話せるからね』
蒼生「そうそう。茅兄と満がいるとお笑い三馬鹿トリオになるから本当困るよ」
私はそのお笑い三馬鹿トリオも好きなんだけど。
なんて笑みがこぼれると
『ん?』
蒼生兄が私を見つめていた。
『何、蒼生兄? 真っ直ぐ見ないと前危ないよ?』
蒼生「うん、それより真白、今日なんかあった?」
え?
オレンジに染まる白銀の前髪の奥、琥珀色の綺麗な瞳が真っ直ぐ私を見る。