第2章 わん!
莉乃「なのに、僕には大切な妹がいるからって。マジふざけんなよ!何がただの兄弟だよ!笑わせんな!」
『大切な妹…』
え、えーーーっ!! 何言ってんの蒼生兄!?
まさか蒼生兄のシスコン度がここまでだったとは!!
莉乃「だからあんたが嫌いなんだよ!!憎くて堪らないんだよ!なんで私じゃなくて、こんなブスを!!!」
ガンっと個室のドアを殴る高遠さん。
その目はもう完璧に怒り狂ってる。
『いや』
私は恐怖で一歩後ろに下がるが、
莉乃「何距離取ってんだよ」
高遠さんはそれを許さない。
私に近づいてはブラウスの襟を荒々しく掴む。そして
『っ!?』
莉乃「あんたさえ居なければ!!!」
ドンっと鈍い痛みが私の腹部に広がった。
それは、高遠さんの膝が私のお腹に当たったからだ
『っー!』
いったー
莉乃「これで済むと思うなよ。あんたは一生、私の奴隷なんだから」
そう言うと高遠さんは私の襟を離す。
が、お腹の痛みで足に力が入らない私は汚らしいトイレの床に倒れ込んだ。
屈辱感
きっと、彼女はそれを私に与えたいのだろう。
蒼生兄にフラれた腹いせに。
莉乃「ハハッ。トイレの床に倒れ込むとか汚過ぎー。でもわかってんだろうな?」
床に伏せる私の頭上
高遠さんは私の前髪を乱暴に掴むと、視線を合わせるようにした。
彼女のブラウン色の瞳がぎらつく。
莉乃「兄弟や、他の人に言ったらただじゃおかねーから」
こうやってイジメは出来上がっていくんだろう。
莉乃「おい、わかってんのか?」
『はい』
パッと離される前髪。
しかし、彼女の瞳は氷のように冷たくて、私の心臓を突き刺すみたいだった。
莉乃「なら良い。」
最悪だよ蒼生兄。
まだ入学したてなのに、一体は私はどうすれば良いの?