第2章 わん!
連れて来られたのは女子トイレだった。
高遠さんは私を奥においやると、腕を組んで私の前に立ちはだかる。
ま、待って、まだ状況が飲み込めないんだけど!
『あの』
莉乃「うるせー喋るな!私さ、あんたみたいな女が一番嫌いなんだよね」
『え?』
いきなりなに!?
莉乃「ブスのくせにカッコイイ兄弟たちに囲まれてちやほやされて、それで自分可愛い!なんて思ってんだろ! 見るとマジ吐き気がすんだよ!」
待って、待って。
それは自分でも引くわ!
自分可愛いだなんて、高遠さんに比べたら自分は芋だわ!
『私はただ単に兄弟としか』
莉乃「だからさ、うるせぇって言ってんだよ?」
『っ』
射抜くような視線に開いた口がすぐ閉まる。
莉乃「あんた知らないの? 私、蒼生先輩に告白したんだよ」
え……蒼生兄に?
突如知らされた事実に私の瞳が見開く。