第11章 つくばねの… 〔三日月宗近/R18〕
俺は呆然と雅を見下して名を呼ぶ。
「ああ、もう、ずっと隠しておくはずだったのに…言う事になっちゃった…」
雅は顔を真っ赤にして見上げ、俺に数瞬置いて言った。
「宗近、いつの間にか貴方に近侍以上の感情を持っていたの。でも貴方は神さまだし、私みたいな小娘がこの心を伝えていいものか悩んで、貴方からなるべく離れる事を決めていたのに…」
口を一瞬閉ざした雅に、まさかと心が戸惑う。
「…宗近…貴方が好き。誰よりも好きなの…」
泣きそうな顔をして俺に自分の感情を告白する雅に、俺は呆然と雅を見つめる。
「俺が好き…」
繰り返す言葉に雅はかぶせてくる。
「宗近が好き…気付いたら好きになっていたの…」
俺は自分の心のもやもやとしたものが消えていくのを自身で感じ、息を呑む。
俺も雅に同じ感情を抱いていたというのか…
俺は自分の感情を隠して言った。
「…っ…この時間にここでこんな風に言って、後悔…せぬな…」
違う、こんな風に言いたかったのではない。
だが俺の感情は止まらない。
「後悔…せぬな…」