第11章 つくばねの… 〔三日月宗近/R18〕
「主がおとこを知ったら、か…そういえば三日月殿が相手じゃないのか。もともと三日月殿にべったりだったじゃないか、主は」
「そう思っていたけどね、最近三日月殿は側にあまり置いてないね。せいぜい近侍として三日月殿が主の側にいる時くらいしか一緒にいるのを見掛けないなぁ」
そうだ、いつからか俺は近侍をする時以外は、雅から遠ざけられているのに気付いていた。
俺は全身が冷える感覚を覚えた。
雅は加州清光が好きなのか。
そうか、雅は…
俺の心の中が黒いもので覆われるような気がした。
叢雲(むらくも)がかかる月は、俺の名前と同じ、三日月。
ほとんど光の無い中、俺は主の部屋へ向かう。
主の部屋に近付くと、まだ仕事をしているのか明るい光が漏れている。
すると俺の服の衣擦れで気付いたのか、中から声がする。
「誰か外にいる?」
「俺だ…」
俺の声に雅が息を呑むのがわかったが、少しの間を置いて声が掛かった。
「どうぞ…」
雅の部屋に襖を開けて足を踏み入れると、紙があちらこちらに散乱していた。
「これは…」