第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
「…主、うるせぇよ」
和泉守が盛大に舌打ちして顔をしかめると、審神者は「あっ」と両手で口を覆った。
「ごめんなさい、和泉守さん。異世界への出陣おつかれさまでした」
慌てて礼を述べる審神者に、和泉守は後頭部をぼりと掻くと「あぁ…」とだけ言って「一応手入れ部屋に行っておく」と堀川を連れてその場を去った。
「和泉守、構ってちゃんなところがあるから」
くすくす加州が和泉守の様子を見て笑う。
「結構な数の遡行軍を倒したんだよ、オレたち」
大和守が審神者に言い、審神者はまたも慌てて礼を言う。
「加州さんも大和守さんも南海さんも…南泉さんも出陣おつかれさまでした」
審神者から頭を下げられ、南泉も照れたように言う。
「オレは後からちょっと行っただけだから、たいしたことはしてないにゃ」
「そういや、何故南泉だったんだ?」
肥前が助けが南泉だったことに問うと、審神者はあはは、と苦笑いをした。
「かなりの数の時間遡行軍が肥前さんのところに出たのはわかって、本当は一部隊送りこもうと思ったんだけど、呼び出して準備をする時間もなくて、たまたま目の前にいた南泉さんに出陣してもらったの」
「本当にゃ。主に呼び止められたと思ったら、いきなり『ちょっと飛ばすから戦ってきてください』とだけ言われて、どこへ行くのかもわからなかったんだにゃあ」
「南泉さん、本当に突然でごめんなさい」