第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
「…ずいぶんあっさり帰るんだな」
レオナが肩をすくめ、ラギーは肥前たちの消えた場所をもう一度見つめる。
「もう、来ちゃだめっスよ」
ラギーがバイバイと消えたところへ向かって手を振り、先に植物園に戻ろうとするレオナの後ろを追い掛けた。
「…おや、今回もあっさり帰られたようですね」
学園長クロウリーは気配を察し、学園長の部屋の窓から下を見下ろしたが、時間遡行軍に追われた生徒たちがまだ戻らず、うろうろしているのが見えただけだった。
「…ひと騒がせですね、もう、来ないでくださいよ」
ぱちりと指を鳴らしてティーカップにお茶を注ぐと、それがふわふわと手元に飛んできて受け取ったクロウリーは優雅にカップを口につけた。
「…戻ってきた」
一方、ツイステッドワンダーランドから戻ってきた肥前たちは、ばたばたと部屋から出て走ってきた審神者から「おつかれさま」と労られていた。
「肥前さん、またあっちに行ってしまったのですね」
「…あぁ、ほうきに乗って空を飛んできた」
「あー、良いなぁ、誰に乗せてもらったの?」
「フロイド」
肥前が名前を出した途端、前のように審神者は「うあああああ」と絶叫した。
「ふ、フロイドに乗せてもらったの、良いなぁ、背、高いでしょ、かっこよかったでしょ、良いなぁ、良いなぁ」