第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
「この辺はオレが守るから、存分にそっちは戦ってにゃあ」
「おー、頼んだー」
和泉守が返答してきて、南泉は生徒たちを守るように前に立ちふさがった。
「主も刀遣いが荒いにゃあ。いきなり説明もなくどこかに飛ばすとか言ってきたんだから、にゃあ…」
南泉はひとりごち、もう一度刀を構えた。
「ま、やることはやるにゃ」
時間遡行軍が向かってくるのを南泉も走り込み、そのまま薙ぎ払う。
しばらくして、肥前たちと遡行軍の戦いもようやく終わりがみえ、最後に残った大太刀を斬り落とすと全員が刀を鞘にしまった。
「肥前、おまえ、またここに飛んでたのか」
和泉守が笑いながら肥前に絡むと、加州も近寄りながら言う。
「主も行きたいって騒いでたけど、主がこっちに来ると戻れるかどうかわかんないからね、長谷部が必死に止めてたよ」
「肥前くん、やはり、罠をつくって仕掛けておいたほうが良いかい?」
「いや、先生、それは止めてくれ」
呑気に罠を作りたいという南海に、止めてくれという肥前の口調は、いつもの本丸にいるときそのままだった。
「へぇ、仲間といるときはそんな感じなんだね、タチウオくん」