第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
二人の会話にようように肥前は答える。
「…もともとは刀だが…今はヒトと変わらん…」
「…だそうっス。ヒゼンくん、少し休みましょ、はい、水。あ、一度に飲んじゃだめっスよ」
魔法で水を取り寄せたラギーからそれをもらい、肥前は言われた通りちびちびと飲んだ。
「…だいぶ落ち着いた…もう少ししたら動けるだろうから、オレを気にしなくて構わない」
しばらくして肥前が三人に声を掛ける。
「そういう訳にはいかないっスよ、ヒゼンくん」
ラギーが気にするものの、前に時間遡行軍と戦ったところを見ていないレオナは辛辣に言い放つ。
「そんなんで本当に、前に魔法の通じないやつらを倒したのかよ?」
「…前…?あぁ、時間遡行軍か…」
肥前はまだ多少青い顔をあげ、レオナを見て言う。
「前はこんなふらついた状態じゃなかったからな…」
一度息を大きく吐いて肥前は続ける。
「…オレがこの世界に来てしまったのは、時間遡行軍がもともと異世界から来るやつらで、やつらの開いたゲートにオレが入りこんでしまったんじゃないかと主が推測していた…」
「主?」
フロイドもラギーもレオナも同時に聞いてきた。
「あぁ。オレたち刀剣男士を纏めている人だ。刀からヒトへオレたちを顕現させた能力の持ち主だ」