第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
「そう。タチウオくんはニホントウっていう剣なんだぁ」
「剣?ヒゼンくんは剣の妖精ってことスか?」
ラギーは首を傾げ、肥前はまたしても説明が面倒になって本体を取り出したので、ラギーは驚いて一歩後ろに下がり、レオナは動じないものの目を見開いた。
「わっ」
「これがオレの本体だ」
鞘から抜いた刀身をレオナとラギーに見せると、二人は目をみはってそれをしげしげと眺めた。
「シルバーくんの使う剣とはまた違ったものスね」
「刀身が曲がっているしそんな薄さで斬れるのか」
レオナも不思議そうに肥前の刀を眺め疑問を口にすると、肥前は面倒臭げにちっと舌打ちするものの丁寧に説明し、二人共そしてフロイドまでもが感心した。
「そんな薄いのに中と外で違う素材を使っているのか」
「曲がっているのも意味があるんスね」
「そんなに複雑な工程で出来てんだぁ」
「…そういうことだ。オレがヒトで無いのがわかっただろう」
ぱちりと鞘に刀を収めると肥前は本体を消し、それを見たレオナとラギーは「魔法が使えるんじゃねぇか」と口々に言い、肥前はそれについても説明しなくてはならず更に面倒臭そうに舌打ちした。
その様子を見たラギーはシシシと笑いながら、「いちいち面倒臭がるところ、レオナさんに似てるなぁ」と言い、レオナが今度は「いちいちうぜぇ」と嫌な顔をしたので反対に何故か四人でその場で笑い出し、近くにいた生徒たちが怖がって逃げ出してしまった。