第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
「ラギー、おれたちもマジフト練習ついでに空飛ぶか」
「えっ、珍しいッスね、レオナさんから提案してくるのって」
笑う姿も珍しいのに自分から練習がてら空を飛ぶと言うのも珍しい、レオナの態度にラギーは驚く。
『これもヒゼンくんが理由スかね』
驚きつつもラギーはいそいでほうきを二本用意し、レオナに「どうぞ」と渡す。
「おい、カタナ。おれの動きについてこられるか」
にやりとレオナが笑み、トンとほうきに足を乗せると同時にほうきがふわりと浮いた。
「立ったまま…」
肥前がつぶやくようにその姿に驚いていると、ほうきにまたがったラギーが横でシシと笑う。
「レオナさんはマジフト部の主将スよ。飛行術はお手のものス」
言った途端、ラギーのほうきも浮き見上げる程の高さに姿があった。
「オレたちも行こっかぁ。ほら、またがって」
二人の姿を見たフロイドに促され、肥前もフロイドの後ろでほうきにまたがる。
「タチウオくん、いぃ?」
フロイドに聞かれ肥前は「あぁ」と短く答えた。
途端、ぶわ、と前回と違い、勢いよく浮くと一気に上で待つレオナとラギーの高さまであがった。