第48章 特別な主、特別な刀。 〔日光一文字/R18〕
「そっ…そんなことは…っ…」
楽しそうに俺に指摘するお頭に対し、俺はへどもどとしか返せない。
「ははっ、おまえにそういう感情があるとはな。俺は応援するぞ」
お頭に楽しそうに言われてから自分の心を自覚し、そしてある日近侍になって主に付いた時。
ふとした事で主が怒り出し、そしてこの言葉が出る。
「山鳥毛さんと私、どちらが大切なの?」
比べようが無いのは必然だろう。
お頭は俺にとっては主とは違う意味で一番だ。
しかし目の前の主は、俺が何よりも優先すべきものはどちらだ、と問うてきている。
目にうっすら涙をためて、俺の心を刺激し迷わせる。
「何を言う…」
俺は彼女の柔らかなからだを抱き締める。
「俺にとってお頭は尊敬すべき大切なかただ。だが雅、おまえも俺にとって大切だ」
俺の言葉でぐずぐずと主は言う。
「…それは…私が審神者でこの本丸の主だから…でしょう…」
「そんな事はない。主でなくても好いている」
どうしたら俺の思いは伝わるのだろう。
俺はどうすれば良いのか主に聞く。