第47章 嘘つきな秘密 〔明石国行/R18〕
「どうぞ」
カップに入れたコーヒーを明石に渡すと、明石は「どうも」と礼を言って受け取る。
甘さも明石好みに調節されていて、明石はずず、とコーヒーをすする。
「そういえば、何かご用?」
主もコーヒーを飲みながらすぐ近くに座る明石を見る。
「あー、ちょっと散歩のお誘いに来たんですわ」
「散歩?」
明石の口から散歩という言葉が出てくるとは思わず、主は目を丸くする。
「珍しい、明石さんから散歩のお誘いがあるなんて」
今度はくすくすと笑いながら主は言い、明石は小さく膨れたように返した。
「そう、いつも、寝てばかりと思われても困りますな」
「そう?ごめんなさいね。いいよ、散歩いつにする?」
ふふ、と笑って主は明石を見ると、明石はこの日、と指定してきた。
その日は一部隊が遠征に出る翌日で、その編成には愛染と蛍丸が含まれていた。
「あらあら…」
明石の意図を察したのか、主はさっと顔を赤くする。
「…ええでっしゃろ?」
明石の声も小さくなり、主は顔を赤くしたままこくりと頷いた。