第47章 嘘つきな秘密 〔明石国行/R18〕
「はい、ちょっとお待ちください」
店番のものが紙を手にし、何やらすぐ後ろの棚を探して、明石の目的のものを差し出す。
「お待たせしました、こちらです」
「おおきに」
簡単に包んでもらって明石はそれを手にすると、ポケットに突っ込んだ。
そしてすぐその秘密のコーナーから出ると、小さいカゴにたくさんの菓子を入れ、それでもまだ選んでいる愛染と蛍丸に声を掛けた。
「まだ買うん?」
「あっ、国行。だって粟田口はたくさんいるだろ?だからたくさん買わないと!」
愛染がにこにこしながら言う。
「あー、そうやったな…しかたありまへん」
「自分で買うようにって言ったのに、変な国行だなぁ」
蛍丸が呆れたように肩をすくめて言うと、明石は苦笑する。
「まぁ、そう、苛めんといて」
そしてようやく菓子を選び終えると会計をし、たくさんの袋を持って三振りは万屋を出る。
「国行は何か買うもの無かったのー?」
愛染に聞かれて明石は少し顔を傾けて「特にありまへん」と答える。
「ふーん、何も無いのにお菓子買ってくれるなんて、明日雪でも降るかもね」
蛍丸が茶化すと、明石は口をへの字に曲げて「これ」と言い、蛍丸はきゃっと笑った。