第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
疲労が溜まってきて限界が近付いてくる。
じりじりと遡行軍のやつらがおれを囲んで狭まってきた。
そこへ。
おれややつらの目の前に、五つの輝きが上から舞い降りてきた。
その輝きは地面へついたと思うと眩しい光を発し、まぶしさに目を細めながらおれは何が降りてきたのかと見、光が落ち着いた時には見慣れた刀剣男士五振りが目の前に居た。
「ひぜーん、待たせなぁ」
「ずいぶんがんばったようだね、おれたちに後は任せて」
「どこに行ったのか主がずいぶん探したんだよ」
口々に言われおれは少々気恥ずかしく「うるせぇ」と小さく言い返す。
「それだけ元気ならまだ動けそうだな」
「ああ、出来るさ」
そしておれたちは刀を構えて時間遡行軍の前に立つ。
「どれ、おれたちも相手になるぜぇ」
長い黒髪を揺らし大声で遡行軍へ叫ぶのは和泉守兼定。
「肥前くん、きみは思ったより手が掛かるようだね」
先生にそんな事は言われたくなかったとおれは苦笑した。
「変わったとこみたいだね、ここ」
大和守安定が周辺を見回しながら刀を正眼に構える。