第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
時間遡行軍と戦えるのはおれだけだ。
おれは着ていた制服姿から自分の気を集中させ、刀を顕現させると服装も戦闘姿に変わった。
騒ぐ生徒たちの間を進み、時間遡行軍の前におれが姿を見せると、やつらは一斉におれを見て生徒たちからおれへとターゲットを変えた。
「おい、あいつ、なんだ?」
「確か留学生じゃないか?」
「あの恰好はなんだ?それにあのサーベルみたいなのはなんだ!」
口々に生徒たちが騒ぐのを「うるせぇ」と低く一吠えすると、彼等はぴたりと口を閉ざした。
おれは左腰に挿した鞘から抜刀し、体勢を低く構える。
「さぁ、肥前忠広が相手をしてやる。かかってこい」
時間遡行軍が自分の刃を閃かせて突進してくるのを躱し、後ろからざくりと斬り付ける。
斬られたやつは勢いあまって生徒たちのほうへ歩み、生徒たちは叫んで後ろへ後ずさる。
そして歩きながら倒れていき、そのまま砂になったように姿を消し、生徒たちから奪ったペンのようなものがバラバラと地面に落ちた。
「わっ、消えたっ」
「死んだら消えるのか?」
「マジカルペンが!」
口々に生徒たちは叫び落ちたものを拾おうとするが、他の時間遡行軍がそれを阻止し奪おうとするので、奪い返す事が出来ずにいた。