第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
本丸なら燭台切か歌仙あたりが料理人で、経営者は博多だろう。
そんな事を思い出し、たった数日本丸を離れているだけなのに、懐かしく思ったのも束の間。
学園内のどこからか叫び声が聞こえてきた。
そちらに向かって生徒たちが走っていくので、おれもそれについて行った。
「おいっ、なんだっ」
「やべーよ、あいつら」
「魔法が効かないじゃん」
生徒たちが口々に叫んでいる声を拾いながらその場所へ到着する。
果たして、そこに居たのは、何故か時間遡行軍だった。
魔法が効かないはずだ、やつらは時空を超える事が出来るのだから。
やつらは前へ横へと進みながら生徒を掴まえ、生徒たちの構えていた、石が付いた魔法を使うためのペンのようなものを奪う。
「…かえ…せ…」
倒れている生徒がそれでも自分のペンを取り返そうとするものの、時間遡行軍は無言でそのペンを奪っていく。
「先生を早く呼べ!」
「上級生の魔法すら効かないぞ」
魔法が効かないことにパニックを起こした生徒たちが、泣きわめき騒然とした状態となった。