第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
おれは先生を、発明好きで変わった道具を作る、ということを離すと、やつは目を輝かせる。
「へぇ、そんなおもしろい知り合いがいるんだ。おれも会ってみたいな」
フロイドが本丸に来たら、きっと歌仙と長谷部がきりきりしていそうだが、特に鶴丸あたりは喜んで仲良くなって一緒に落とし穴作りそうだなと思い、つい「ふ」と小さく笑ってしまったのをやつに気付かれる。
「あっ、ウニちゃん、一人で何笑ってんの?」
「いや、それは…あー…」
結局やつに、おれもこの学園の寮のようなところに目的を同じにしたたくさんの者と住んでいて、そこにフロイドが来たらこうなるかもしれない、と想像したことを話した。
「へぇ…ますます楽しそうじゃん。おれもウニちゃんの世界に行ってみたいな」
やつの望みは叶いそうもない願いだ。
だがおれは「出来ない」と言わず「叶ったらおもしろいな」と答えた。
魔法を知らないおれに、やつは唯一、箒で空を飛ぶのを実証してくれたやつだ。
地面に戻ってきたおれはフロイドに礼を伝える。
するとやつはにぃと尖った歯を笑って言った。
「いいよぉ、おれ、ちょうど空を飛びたかった気分だったんだよね」
「んじゃ」と手を挙げ、やつはポケットからスマホを出すと、「あー、おれ」と誰かと話し出した。
「フロイドっ!何をしているのです!もう始まっているのですよ。早く来なさい」
どうも話しの内容から、オクタヴィネルの寮長が遅刻をしているやつに、早く来なさいと言っているようだった。