第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕
「ほうきにまたがって。飛ぶよ」
「…は?」
ほうきで空を飛ぶなんて聞いた事が無い。
おれのさすがに『おまえ何を言っているんだ』という態度がわかったらしい、フロイドはほうきにまたがりおれに後ろに乗れ、と言ってきた。
「早くぅ」
早くまたがらないとそのうち機嫌を悪くする、そんな態度が見え隠れしおれは意味がわからずほうきにまたがった。
途端地面に着いていた足が地面に届かなくなった。
「あぁ?」
どうした、と下を覗き、宙に浮いている事に気付き変な声が出た。
「空飛ぶ魔法だかんね」
ふわ、と更に高さを増してほうきはぐんぐん浮いていき、おれは落ちないようにほうきにしがみつくように両手でしっかり握り締めた。
ほうきはこの学園の一番高い塔までの高さにあがり、フロイドは楽しそうにおれに話しかけてきた。
「ほら、楽しいだろ?こんなに空に浮いたことある?」
「…いや…無い…」
「だろ?じゃあ、少し動くよぉ」
フロイドはほうきに何やら言ったと思うと、ほうきがものすごい勢いで進み出し、おれは落とされないように必死にしがみついていた。