第9章 貴女は堕ちて、ぼくに。 〔燭台切光忠/R18〕
「こんなに急接近して、主を抱き締めて良いって事なのかな」
ぼくの言葉に益々赤くなる主。
「もう…冗談はやめて、光忠さん」
ぼくはその言葉に真顔になって主を見つめた。
「ぼくは本気なんだけれど?」
主の瞳が甘く色付いて、動揺するのははっきりわかった。
どういう動揺なのかは今はまだわからないけれど、ぼくは続ける。
「ま、これから宴会の支度もあるし、そうだね、終わってから改めて良いかな?」
「うぅ…そうして…ください…」
動揺する主にそう言って、一度は見逃してあげる事にする。
さあて、宴会が終わったら、主をどう料理しようか。
ぼくはこれから作る宴会料理を頭に思い描きながらも、同時にその後で料理する主の姿も思い起こす。
雅、捕まえに行くから、だから抵抗しないでぼくに捕まって欲しいな。
ねぇ、雅はどんな風にぼくに料理されたいか、それも考えておいてよ。
触れてとろとろに蕩かして欲しいかな、それとも、言葉で攻めて欲しいかな。
思わず一人になってから舌なめずりしてしまうぼくは、主を狙った一匹の狼になったよう。
でも、ぼくを狂わせるのは、そんな風に思わせてきた雅、貴女のせいだからね。
だからその時だけは、ぼくに堕ちて、ぼくに酔わされて。