第9章 貴女は堕ちて、ぼくに。 〔燭台切光忠/R18〕
本丸にはそれなりに人数がいるから、正直主も手伝ってくれると助かるな。
「勿論手伝ってもらわないと人手が足りないからね」
ぼくが言うと主は「まかせてね」とにっこり笑う。
ああ、ぼくが好きな主の満面の笑顔だ。
この平和なひとときはいつまでも続かないだろうけれど、だからこそ主はぼくたちに楽しみを考えてくれる。
ぼくがそんな事を考えながらじっと主を見つめていたら、主は目をぱちくりさせぼくへ手を伸ばしてきた。
「どうしたの?熱でも有るの?」
額に当てられた小さな可愛らしい手に、ぼくはどきりとしつつ当てられた手を取る。
「ちょっと考え事をしていただけだよ、大丈夫」
そしてその主の手の甲にちゅっとキスすると、主は途端に顔を赤くする。
ああ、初心な主は可愛いな、とぼくの心に淡くオスが芽生える。
「光忠さんは案外口説き上手なのね。伊達政宗の刀だったから口が上手なのかしら?」
ぼくの様子を見て主は顔を赤くしたまま言う。
「伊達政宗公は関係無いと思うけれど?」
ぼくは手を握ったまま主の顔を覗き込みながら言うと、主は赤い顔をしたまま自分の手をひっこめようと引っ張った。
勿論ぼくはその手を離さないので、ぼくまでひっぱられる形になる。
急接近したぼくはいたずらっぽく主に言う。