第44章 ××しないと出られない部屋その3 〔五虎退〕
「あ…虎さん、ミルクいただいたんですね…ありがとうございます、主さま」
入ってきた五虎退くんは、虎さんの様子を見てこちらに礼を言ってくれる。
「いいのよ、気にしないで。それより五虎退くんもお茶にしましょう」
既に準備しておいたお茶を注ぎカップを目の前に置き、用意しておいたお菓子も出した。
「これ、現代遠征した膝丸さんが買ってきてくれたんだ。美味しいよ」
「わぁ、美味しそうです、いただきます」
ぱくりと食べる五虎退くんの姿はとても愛らしく、短刀たちは私より本当は長く時を過ごしているのだけれど、見た目は弟としか見えない。
私がもう少し年を経た審神者になったら、こどもとか孫のように思うのかなぁ、と未来を想像してしまった。
「さっきの衣装交換、五虎退くん、似合ってたね」
思い出して言うと五虎退くんはむせてしまう。
「あぁ、ごめんね、食べてる時に」
慌てて私も五虎退くんの背中をさすると小さな背中が震えた。
そしてミルクを飲んだ虎さんも心配するように、五虎退くんの顔に擦りよる。
「虎さんも心配しちゃったね、ごめんね」
私が大声をあげたせいで五虎退くんがむせてしまったので、虎さんにも謝る。
「主さまのせいじゃないです…気にしないでください…」
ぽそぽそと話す五虎退くんは極めて強くなったはずなのに、今でも本当に可愛い。