第44章 ××しないと出られない部屋その3 〔五虎退〕
「は…はい…」
私の衣装のサイズ違いのものを五虎退くんに渡し、私は隅に行って五虎退くんの大きい衣装を眺めて着替え始めた。
最後に帽子をぽんと頭の上に乗せると、五虎退くんのコスプレをした私が出来上がった。
「…あの…出来ました…」
五虎退くんの声がしてそちらを見やると、私と同じ服を身に着けた五虎退くんが立っていたのだけど…
「やだぁ、五虎退くん、可愛い!」
つい大声で叫んでしまい、五虎退くんは驚いてびくりと全身で震える。
「あぁ、ごめんね、大声出して。虎さんも、五虎退くん可愛いと思うでしょ?」
隣にいる大きな虎にも言うと、ちらりと五虎退くんを見て同意したように、すりすりと頭を五虎退くんにすりよせた。
「五虎退くんのその姿を見たら、一期さんが倒れそうね」
弟たちを溺愛する一期一振さんが、コスプレした可愛い五虎退くんの姿を見たら、写真を撮って、と大騒ぎした挙句倒れるところまで想像して、吹き出してしまった。
「そ、そんなこと…ないです…」
小さく五虎退くんは否定する。
そこへカチャリと入口から音がして、かかっていた鍵が外れたようだった。
「あ、外れたね、出よう」
ガラリと引き戸を開け、五虎退くんと虎さんと私が外へ出ると、閉まっていて開かない事に気付いていた男士たちが集まっていた。