第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
途端、くるりと全身が回転して視線が天井を見ることになる。
「…え…」
あまりの動きの早さに自分の頭が追い付いていかなかったが、天井と私の視線の間に石切丸さんの顔が覗き込んできた。
そして石切丸さんの顔が近付き、私の両手は石切丸さんの両手と絡ませるように繋がれる。
「雅…」
もう一度、石切丸さんは私の名を呼び、そして目の前が暗くなる。
同時に、唇に柔らかいものが押しつけられる。
え…これは…なに…私の頭は理解が追い付かず、呆然とするばかり。
暗くなった視界が少し明るくなったと思うと、唇の柔らかい感触は無くなり、それと同時に石切丸さんの顔がとても近くに見えた。
キス…した…?石切丸さんと…?
そうとしか思えない状況にようやく私の思考は辿りつく。
どうして良いかわからずまばたきすら出来ているのかも自分でわからず、すると、石切丸さんの微笑んだ口元から言葉が出る。
「雅…好きだ…と刀剣男士が審神者に言ったら怒られるのだろうか…」
石切丸さんは他の女性が好きじゃ…いや、さっき、違うと言っていた…誰が誰を好きだって…ええと、今の言葉だと、石切丸さんは私を好きと言った…ちょっと、待って…石切丸さんは私を好きと言った…
またも理解出来なくなった頭が、状況を理解し、私は「はぁぁぁぁ?!」と色気も何も無い言葉を口に上らせてしまった。