第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
「いしっ、石切丸さん…今の言葉…っ…」
私のあたふたする姿に、石切丸さんは途端余裕を持ったようにふんわりと笑う。
「あぁ…やはり何故かわからないけれど誤解をしているようだね。私がずっと慕っていたのは貴女だよ、雅」
石切丸さんの片手が私の手を離し、私の頬を撫でる。
「でも私は刀剣男士。審神者に愛情を抱くなぞいけない事と自制していた…しかし、三日月から貴女の心が私に向いている、と聞かされて…私は浮かれて今、こうしてここにいるのだが…やはり勘違いなのだろうか…」
石切丸さんの言葉がからだのすみずみに染みわたる。
見てきたあの苦悩の姿は、審神者である私に特別な感情を持ってしまって、それはいけないと自分で戒めていた姿だったのか…
私は石切丸さんを理解し、そして空いている手を伸ばし石切丸さんの首の後ろに手を回す。
「勘違いじゃない…私もずっと…自分の心に気付く前から…石切丸さん…貴方の事が…好きみたい…」
私の言葉に石切丸さんは目を見開いて私を見おろす。
そして数瞬の後、美しい微笑みを浮かべて私を見つめる。
「…ありがとう…嬉しいよ…」
そして、石切丸さんの顔がまた近付いてきて、額や頬に柔らかい感触を受け取る。
息づかいが聞こえるほどの距離で石切丸さんの囁きが耳に入る。
「…貴女の全てを…私に…」
断る理由は何も無く、私は「うん…」と小さく、小さく…頷いた。