第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
そう思ってあたふたしているところに三日月さんが声を掛けたらしく、石切丸さんらしい足音が聞こえてきた。
「主、良いかい?」
わ、わ、どうしよう…返事をせずに固まっていると、もう一度、声が掛かる。
「主、いるのかい?失礼するよ?」
すらりと障子が開き、内番服に着替えた石切丸さんが姿を見せた。
「三日月から少し話しを聞いてね、失礼するよ」
いったい三日月さんは何を言ったのだろう、石切丸さんは中へ入ると障子を閉め、私のすぐ前に来てきちんと座った。
う…どうしよう…石切丸さんは手を伸ばすと、固まる私の両手を取って握ってきた。
「雅…」
初めて呼ばれた名前に、心臓が大きく音を立てたようにどきりとする。
私が視線をさまよわせる理由を知っているように、石切丸さんは口を開く。
「その…私が…どこかの女人に心を奪われている、と、三日月が言っていたのだが…それは…無い」
きっぱりと私の思い込みを否定する石切丸さんは続ける。
「私は一振りの刀剣男士。生きていく時間が審神者とは違う。私はだから、このような心理は持ってはいけないと考えていた…しかし…」
石切丸さんは言葉を切り、私の手を握る手のちからを更に込めた。
「…はっきり言おう…雅の心が私のところにあるならば…私はこの心を打ち上けて良いと思うのだが…わかっているだろう…?」