第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
「それならその自分の気持ちを石切丸にそのまま伝えれば良かろう」
でも自分の気持ちを押しつける訳にはいかないよ。
「だめだよ、三日月さん。だって、石切丸さんにはどこかに好きなひとがいるんだから」
私が言うと、三日月さんは少し目を見開いて「ほぅ…?」と少し首を傾げる。
「そんな事は聞いた事がないがなぁ…」
更に首を傾げる三日月さんに私は言った。
「そういう事ってあんまりひとにしゃべるものじゃないと思うけど…」
すると三日月さんは破顔する。
「おお、そうか。しかし俺たちは刀剣男士。ヒトではないからな。そういう心があれば反対に戸惑って、誰かしらに話すのだと思うぞ」
「…それって石切丸さんは誰かに話したってこと?」
私が聞くと三日月さんは笑顔を消さず続ける。
「それは石切丸に聞くと良いぞ。どれ、このじじいが呼んできてやろう」
じじいとは思えないすばやい動きにこちらは目をぱちくりさせる。
「は?え?ちょっと、待って…」
立ち上がった三日月さんはさっと障子を開けると、こちらが声を掛ける前にさっと居なくなってしまった。
「え…ちょっと…ってことは…ええええ?」
三日月さんは石切丸さんを呼びに行ったって事は、ここにまた石切丸さんがやって来るって事だよね…えええ、どうしよう…顔、合わせられない…