第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
「これも飲むと良い」
私が涙を拭いている間に三日月さんが水を用意してくれたのでそれを口にした。
「…ありがとう、三日月さん」
鼻声でお礼を言うと三日月さんは「なんの」と小さく笑ってそして続けた。
「俺で良ければ話しを聞くぞ」
「…うん…」
どうしよう、話して良いものか、と揺れるけれど、思い切って聞いてみた。
「あのね…私ってそんなに石切丸さんが好きなのかな…」
私のつぶやきのような言葉に三日月さんが一瞬ぽかんとする。
「…あぁ、そういう事か…主は自分の事を気付いていないのだな」
理解したように三日月さんが一人ごち、そして、私に優しい表情を見せた。
「自分の事は思った以上に気付かないものだな。主は自分がどういう気持ちか、既にわかっているのだろう?」
「…私は…」
さっきは否定したけれど、きっと、私は石切丸さんを思っている以上に好きなんだ、と理解した。
だから、石切丸さんのさっきの切な気な表情に、どこかにいる石切丸さんが好いているひとの事を想像して悲しくなったと気付く。
そんな事を自分の心の中で思い返し、三日月さんに頷いた。
「うん…きっと、そう…自分が気付いてなかっただけ、みたい…です…」
私の言葉に三日月さんが微笑んだ。