第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
石切丸さんが私が部屋に戻った後、まゆを寄せたのを私は知らない。
閉めた障子を振り返って見ていたのも後から聞いた事。
石切丸さんは大きく息を吐くとその場を静かに去り、私の部屋の前には誰も居なくなった…
私はキーボードに両手を置くものの、入力する文面が頭に入らず、ぼんやりとディスプレイを眺めていると「入るぞ」と三日月さんの声がした。
「石切丸はどうした?」
入って来ながら三日月さんが質問してくるものの、私はぼんやりと顔をあげ、無言で三日月さんを見上げた。
私の変な様子に気付いた三日月さんは障子を閉めると私のすぐ目の前に座り、私のキーボードに置いている片手を取って、自分の両手で包むように握った。
「主、どうした?」
「…なんでもないよ」
「なんでもない、という顔ではないぞ」
三日月さんに言われて、私はぷつりと糸が切れたように、涙をこぼしてしまった。
「うぅーっ」
私が突然泣き出したから、驚いたのは三日月さんだったはずなのに、黙って私が落ち着くまで手を握っていてくれた。
しばらくひとりで泣いた後、三日月さんがティッシュを寄越してくれたので、私は涙を拭き、盛大に鼻もかんだ。