第43章 GREEN 〔石切丸/R18〕
「じゃ…じゃしん…?」
邪心ってよこしまな事や良くない事を考えるって事だよね…
まさか石切丸さんがそういう事を考える刀だった事なの…?
内心驚いていると、石切丸さんの切な気な声が耳に入った。
「私は…私を頼るひとびとではなく、たったひとりの幸せを祈りたくなったんだ」
「たったひとり…」
私は同じ言葉を繰り返し、端正な横顔を見せる石切丸さんを見つめた。
石切丸さんに好かれるなんて、どんなひとなんだろう。
例えどんなひとでも、私は相手のひとも祝福しなくちゃ。
そんな思いが頭の中を飛び回る。
でもそういう考えと共に醜い感情も表れる。
私は審神者で、この本丸の刀剣男士を束ねる者で、だからここにいる男士は全て自分のもの。
ううん、縛り付けるのも押さえつけるのも嫌。
そんな汚い感情は持っていたくないし、男士が恋をしたなら、私はそれを消さずにいたい。
いろんな感情がぐるぐると巡るものの、私は笑顔を作りまるでカマをかけるように言ってしまった。
「石切丸さんに好かれるなんて、どんなひとなのかな。きっと穏やかで優しい心をもったひとなんだろうね」