第41章 愛はこれから 〔大倶利伽羅/R18〕
私の態度に大倶利伽羅さんはまゆをひそめるもののそれ以上は何も言わず、黙って座るといつものように近侍としての仕事を始める。
互いにしばらく無言で入力の仕事を続け、ふと見るとかなりな時間が過ぎていた。
「あ、そろそろ休憩しよう」
書類を少しまとめてお茶を用意していつものように茶菓子も出す。
いつもなら『イケメンがお菓子食べてる』とウキウキで眺めているのだけど、何故か今日はそんな気にもなれず、ずずぅとお茶をすすって斜め下のテーブルを見つめるだけ。
「…菓子、食べないのか?」
大倶利伽羅さんに話し掛けられ、びくぅと背中が揺れる。
「あ、うん、ええと、食べます…」
慌てて自分の分を手にし口に運ぶものの、何故だか味が感じられなかった。
食べているのを大倶利伽羅さんに見られているのすら恥ずかしい…そんな思いしかない。
「…おい」
いきなり声を掛けられどきりとし、更にその声が至近距離から聞こえる事にびくりと震える。
「…クリーム付いてる」
そう言われると同時に大倶利伽羅さんの顔がすぐ横にあって、私の口の端を舐めてきたのだった。
「…ひぇぇぇぇ」
つい叫んでずざざ、と大倶利伽羅さんから離れてしまうと、大倶利伽羅さんは私のその様子を見て、くく、と小さく笑った。