第41章 愛はこれから 〔大倶利伽羅/R18〕
光忠さんや鶴丸さんが側にいるせいか、私が大倶利伽羅さんになかなか接触出来ない日が続く。
一振りになったところを話し掛けようとするとわざとらしく鶴丸さんが寄ってくるし、大倶利伽羅さんを近侍にすると、光忠さんがしょっちゅうお茶を運んできて邪魔をする。
「こうなったら光忠さんと鶴丸さんを同時に出陣させるか」
こう考えていたところ、太刀が極められる事になり、その一番手に燭台切光忠さんが政府より選ばれた為、我が本丸も光忠さんが修行に出る事となった。
「はい、旅装束」
一式を渡したところ、ものすごく嫌な顔をされた。
「ねぇ、これ、ぼくに似合うと思う?」
確かにスーツ姿で出陣する光忠さんには、旅装束の姿は似合わないわね。
「似合わない…ね…じゃあ、うちの光忠さんは違う恰好で行こうか」
私がそう言うと光忠さんもうんうんと頷いて、ここの光忠さんはトレンチコートにボストンバッグという、サラリーマンの出張スタイルのような姿で修行に赴く。
「え…あの恰好が許されるなら、俺もそうしたかったなぁ」
光忠さんの姿を見て、加州清光くんがむすぅと頬をふくらませる。
おしゃれな清光くんに確かに旅装束は似合わなかった。
私はそれを思い出して吹き出してしまい、清光くんに睨まれる。
「主、ひどい」と清光くんにむくれられ、「ごめん、ごめん」と私は謝る。
そんな状況で光忠さんは「いってくるよ」と旅立ち、大倶利伽羅さんの側には鶴丸さんだけとなり、更に鶴丸さんには出陣の機会がやってきた。