第8章 交差しない、けれど愛する 〔一期一振/R18〕
雅は一期の端正な顔がごく至近距離にあるのにどきまぎし、それと同時に歯で軽く押さえられた羊羹に気付き、まさかと問う。
「あの…まさか、その羊羹…口移し…じゃ…」
同時に一期の唇が雅の唇に触れ、舌で羊羹が押し込まれる。
「ん…」
羊羹を口移しで食べさせられると思わなかった。
驚きつつ口を動かす雅を一期はじっと見つめ、動くその唇を自分の指でなぞった。
「主…貴女の唇は柔らかい…もっと触れたくなりますね…」
ごくりと咀嚼した羊羹を呑み込む雅に、一期が後頭部に手を置いて押し倒し、自分は雅の上に馬乗りになった。
「…一期…」
雅の表情が途端におんなのものに変化する。
顔を赤くし、何かを望むような、でもそれを口にするには恥ずかしい。
一期の表情もおとこのものに変わり、それまで穏やかな優しいだけの微笑みが、雅を見つめる目は熱を帯び、片手がゆっくりと雅のからだをなぞる。
「…はぁ…」
頬にあてられた手は頬を滑り耳に触れ、耳を撫でながら首筋へ触れ、その手は滑って呼吸で上下する胸へと移動し、ふくらんだその胸を着ているものの上から軽く撫でる。
「…ん…ぁ…」
それだけで雅から甘い声があがる。