第40章 ガニュメデスの拘束 〔明石国行/R18〕
口にすると炭酸のしゅわっとした爽やかな口触りと、梅酒の香りが漂った。
「炭酸で割ってもらったんです」
ふふ、と主はんは自分の飲んだ後に教えてくれる。
「…自分が飲んでしまって良かったんです?」
他の男士と飲むつもりのグラスじゃないのか、と自分は思い、聞いてみる。
「特に誰と飲もうって思っていた訳じゃないから気にしないで」
そう言って主はんもグラスを一気に傾けた。
細くて白い喉が動くのを見て、その色っぽさに何故か自分は息を呑む。
主はん、こんなにおんなっぽかったか…?
梅酒を一気に空けた主はんは、横にことりとグラスを置くと空を見上げる。
「…自分に用って何ですのん?」
そう言えば最初に自分に声を掛けてきた時、何やら用が有ると言っていたけれど、それを言う様子が無い…?
すると主はんは「あー」やら「えーと」と何やらもそもそとはっきりしない。
なんやろ、と思っているとようやく主はんを言い切った。
「明石さんの顔が見たかっただけなんです…すみません…」
自分の顔が見たかっただけ、ねぇ…謝る必要は無いですけどねん。
自分はずい、とからだを主はんへ近付け、顔を更に主はんに近付けて言った。
「自分の顔、よう見えます?」