第40章 ガニュメデスの拘束 〔明石国行/R18〕
「今日は星が綺麗に見えてますね」
自分がぼんやりと廊下に寝そべって空を見ていると、主はんが自分の側で立ったまま同じように空を見上げていた。
「主はん、何してますのん」
自分が大儀そうに聞くと、主はんはくすくすと笑う。
「明石さんに用があったんだけど、隣に座って良いですか?」
「どうぞ」
自分のめんどくさそうな返事に「それじゃあ」と言って座る主はん。
風呂上がりなのかどことなく肌全体がしっとりとした感じなのと、洗い立ての髪の毛の香りがふわりと鼻をくすぐる。
「これ、飲みます?」
横になる自分の目の前に差し出された小さなグラスには、歌仙兼定が漬け込んだ梅酒の香りがした。
「…梅酒です?」
「はい。歌仙さんに少しいただいたんです。グラスは二つありますから、どうぞ」
ずい、と自分の前に更に突き出されたそれを受け取らない訳にはいかず、自分はからだを起こすとグラスを受け取った。
「良い香りですよ」
自分が受け取ると主はんはもうひとつグラスを手にし、自分の口元にそれを持っていった。