第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
する、と三人はぼくから離れ、そしてアズールのタコ足がぼくの浮輪に巻き着く。
「さぁ、ぼくたちはこれ以上は近付けません。気を付けてお帰りなさい」
「あの…どうも、ありがとう」
ぼくが三人にもう一度お礼を言うと、アズールは笑って言った。
「いえいえ。貴方が将来大きくなったら、この対価をお支払いいただきますから」
「どういうこと?」
何を言われたかわからず、質問するものの、彼等は妙に悟ったような笑顔を見せたままぼくの質問には答えてくれなかった。
「ではまたいつか」
「元気でいてください」
「大きくなったら絞めさせてねぇ」
ぼくに口々に声を掛けて、三人は瞬時に海に潜り、その影はすぐ消えてしまった。
一体ぼくの身に何が起きたの?
ぼくは昼間から夢を見たのかな。
わからないまま、ぱしゃりと足を動かし、みんなのいる方向へ泳ぎ出す。
「あ、乱、いたいた。どこへ行ってたんだ?もうお昼だぞ」
「…あ、うん、ちょっと、ね…」
三人は自分たちの事を言うな、と言っていたし、きっと、話したところで浮輪の中で寝ていたのか、と笑われそう。