第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
ぼくの、誰にも言えない秘密。
だけど主さんは信じてくれるかな、戻ったらこっそり話してもいいかな、とぼくと主さんだけの秘密を持てたようで、ぼくの胸は嬉しくなった。
「ようやく、あの時のあの子が見付かりましたね」
「えぇ。ミダレさんには悪いですが、ぼくたちだけがわかる匂いをつけましたし、これで陸にあがって探すのはたやすいでしょう」
「でもさぁ、トウケンダンシとか言ってたよね。めんどくさそ。それに簡単に見つかるかなぁ」
フロイドが口をとがらせると、アズールは口元だけ妖艶な笑みを浮かべる。
「どこにいようとも、あの匂いを辿ればあの子…雅さんと言いましたか…彼女を捕らえる事が出来ますよ。その為の魔法ですからね」
ジェイドも一見穏やかに、けれども、底に得体の知れないものを隠した顔で微笑む。
「こどもだったとはいえ、ぼくたちにお礼と言ってキスなぞするから、こうしてぼくたちが探すハメになっているのですからね。責任は取っていただかないと」
「あーあ、めんどくさ。でもまたあの子に会えるなら探してもいいかな」
フロイドがケタケタと笑う。
「さぁ、陸へあがる準備をしましょうか」
アズールの目の奥が光り、ジェイドとフロイドが了解とゆたりと尾びれを震わせる。
「雅さんを探しに行きますよ」
ヒトに変身した彼等が本丸へやってくるのを、雅や男士たちは知らない。
その姿を見て、審神者と乱だけが気付いて震撼し、そして、その後、どのような事になるのか…
それはいつかどこかのお話し。
<終>