第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
「およめさんですか…それは盲点でした。種族が違いますし、それは有り得ませんよ」
アズールが笑顔で言うけれど、その笑顔がなんとなく怖いのは気のせいかな。
うすら寒いというか、本心を隠したその笑顔は、得意とする男士がいるからなぁ…
「その雅さんは今は何をしているのですか?」
ジェイドが穏やかに聞いてきたので、ぼくは連れて行かれたら困る、と説明した。
「ぼくたち刀剣男士を束ねるお仕事をしているの。だから連れて行ったらだめ。主さんが居ないとぼくたちはやっていかれないから」
「トウケンダンシ…とは…?」
アズールに質問される。
「ぼくたちは本当のヒトじゃないの。本来は刀なの。悪いやつがいて、歴史を改変しようと企んでいるから、ぼくたち刀がヒトとして顕現して悪いやつと戦ってるの」
「刀ってあの刀ぁ?」
フロイドが両手で何かを握って袈裟斬りする真似をしたので、ぼくはこくこくと頷いた。
「ではミダレさん、貴方もヒトではなく、そのトウケンダンシという存在なのですか?」
ジェイドに聞かれて、やはりまたこくこくと頷いた。
「なかなか雅さんは、難しいお仕事をしていらっしゃるようなのですね…」
アズールがふぅと息を吐いて、そして周りを見回した。
「おや、話しをしていたらこんなに陸に近付いてしまいました。おまえたち、そろそろ離れましょう。ミダレさん、ありがとうございます。おかげであの時の、あの子の様子を知る事が出来ました」