第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
「俺、フロイド。あっちはジェイドだよぉ」
「乱…藤四郎…です…」
「ミダレトウシロウ…?ふぅん、ミダレさん、貴方、ずいぶん沖へ出てますけれど、自分がどういう状況かわかってますか?」
アズールに問われ、泳ぐ前に長谷部に言われていた事を反芻する。
「ええと、そう…波にもっていかれないようにって注意されてたんだ…でもうっかりしていて気が付いたらここまで流されちゃった…」
「貴方がご一緒に来ているかたに姿を見せるのは、ぼくたちは本意ではありません。ですから途中まで貴方を戻しましょう」
「あのさぁ、俺たちのこと、誰にも言っちゃ、駄目だよぉ?」
ヘビ…じゃなくてウツボの人魚たちに言われ、ぼくはぶんぶんと頷いた。
そこへウツボの人魚ジェイドがぼくへ顔を寄せたと思うと、すんすんと匂いを嗅がれた。
「この匂い…あの子の匂いがします」
「え?あの子ってあの時のぉ?」
もうひとりのフロイドもぼくに顔を寄せて匂いを嗅いでくる。
なんというか、ぼくたち刀剣男士って自分で言うのも何だけど、結構顔が良いんだ。
でも、この人魚たちも顔はすごく良いんだよね。
その顔が良い人魚たちがぼくの匂いを嗅ぐの、想像してくれる?
結構恥ずかしいものがあるよ…
ぼくの匂いを嗅ぎまくった人魚たちは、口々に「ほんとうだ、あの子だ」と言いあった。