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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕


「ひといきつきましたか?」

「…うん…あり、が、と…」

ぜいぜいしながら何とかお礼を伝えると、タコの足がぼくの浮輪をくるりとぼくにはめてくれた。

「…うき、わ…」

「貴方のではないですか?」

「いえ…そう、だよ…」

タコやヘビのオバケなのにどうしてこんなに親切なんだろう、ぼくは余裕を少し持てたところでようやく彼等をよく見た。

タコもヘビも顔の部分は多少違うもののヒトとほとんど同じだ…もしかして…オバケじゃなくて…人魚というやつなのかな…

「あの…もしか、して…タコやヘビの…オバケじゃなくて…人魚ってやつなの…?」

ぼくは恐る恐る聞くと、途端に彼等は嫌な表情を見せた。

「だぁれがオバケですか」

「その前にぼくたちはヘビではありません」

「絞めるよ?」

一様に言われ、ぼくは慌てて「ごめんなさい…えぇと…」と謝る。

するとタコのオバケ…じゃなくて人魚が丁寧に挨拶してくれた。

「ぼくはタコの人魚。名前はアズールと言います」

「ぼくたちはヘビでなく、ウツボの人魚です」
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