第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
「ひといきつきましたか?」
「…うん…あり、が、と…」
ぜいぜいしながら何とかお礼を伝えると、タコの足がぼくの浮輪をくるりとぼくにはめてくれた。
「…うき、わ…」
「貴方のではないですか?」
「いえ…そう、だよ…」
タコやヘビのオバケなのにどうしてこんなに親切なんだろう、ぼくは余裕を少し持てたところでようやく彼等をよく見た。
タコもヘビも顔の部分は多少違うもののヒトとほとんど同じだ…もしかして…オバケじゃなくて…人魚というやつなのかな…
「あの…もしか、して…タコやヘビの…オバケじゃなくて…人魚ってやつなの…?」
ぼくは恐る恐る聞くと、途端に彼等は嫌な表情を見せた。
「だぁれがオバケですか」
「その前にぼくたちはヘビではありません」
「絞めるよ?」
一様に言われ、ぼくは慌てて「ごめんなさい…えぇと…」と謝る。
するとタコのオバケ…じゃなくて人魚が丁寧に挨拶してくれた。
「ぼくはタコの人魚。名前はアズールと言います」
「ぼくたちはヘビでなく、ウツボの人魚です」