第39章 出会いは不思議を運ぶ 〔乱藤四郎〕
ぼくは沈みながらぼんやり別れの挨拶をしていると、あの影が近付いてきた。
鮫…じゃなくて、ええと、足がたくさんあって、これってイカかタコ…だよね…
なんかこのタコやたら大きいし、真ん中がヒトと同じ顔なんだけど…
これってオバケかな…
「勝手にオバケにしないでください」
はっきりとでっかいタコのオバケが口をきいた。
なんで言葉が通じているんだろう…
沈みながら、このタコに食べられちゃうんだ、と意識が無くなりそうになったところで、ふわりと何かがぼくの下に入り込み、ぼくを上に引き上げてくれていると気付く。
「可愛いねぇ、絞めていぃ?」
「お止めなさい、死んでしまいますよ」
なんか、また違う声が聞こえてくる。
薄れていく意識を引き上げ、目をようやく開けてみると、タコのオバケの他にヘビみたいなオバケが二匹。
うち一匹がぼくを背に乗せて引き上げてくれていた。
「ひょろひょろでちっさいなぁ」
「どうみてもまだこどもですからね」
ヘビのオバケも会話している…ぼく、頭、おかしくなったかな…
ざばり、と音をたてて僕は海上へ引き上げられ、ぼくはぜいぜいとヘビの背に乗ったまま息をつく。